« にいがたです | トップページ | にいがた に »

2009年3月29日 (日)

レビュー『それでも脳はたくらむ』茂木健一郎

茂木さんの本を読むのは二作目だが非常に読みやすいと思う。例があって現実生活と関連付けて説明してくれる。今までは茂木さんに関して疑問を持っていた部分があったがそれはこの本のあとがきで払拭された。疑問点とは、「脳科学者」っていう割りにはあまり専門的に話をしてこないな、ていうこと。上述したように例は分かり易いが、脳とのからみが少ない。それに対してこの本のあとがきで、『脳科学は日進月歩だが、様々な局面で出会う人生の機微に比べれば、まだまだ単純な事例しか扱うことができない』とある。更には『毎回脳科学の成果を引用するわけではない。明示的に触れないこともある。その場合でも、隠し味として脳研究がある。』とある。

なるほど。確かに脳のことなんて素人に説明するのが簡単なわけはない。でも、脳科学の研究結果をバックグラウンドに持つ茂木氏ならば、説得力がある。

さて、一つ内容に触れたいと思う。『脳にとって「贅沢」とは何か』という節で、『「欠乏」と「豊饒」が交互に繰り返されるくらいの方が贅沢感が高まる』とある。ここでの例は『正月のご馳走は年一回だから価値がある』とか『普段質素な人ほど饗宴に接した時の感動はいや増す』とか。『脳の中でうれしいことがあると放出される「ドーパミン」は「サプライズ」を好む。生きる上で有益な刺激は、それが予想外のものである時にドーパミン細胞を最も活性化させる。どれほど良きものでも、織り込み済みだったり、慣れてしまったりすると、次第にドーパミンは放出されなくなってくるのである。』

ちょっと話はずれるかもしれないが確かになと思うのが登山。苦労すればするほどたどり着いた景色はきれいで感動的で、また心に残る。と言われる。全く同じ景色でも苦労なしにたどり着いた景色はどうだろう。苦労という一見『欠乏』的なことも裏を返せば『豊饒』への重要なものなのかもしれない。

子供の育て方についても参考になった。『子供の遊びは「紙と鉛筆」「10円」「空き缶」こんなものがあればできる。この中で「ルールを工夫する」「ルールを解釈する」「個別の事例について判定する」「意見が違った時に、話し合う」といったことを経験する。コンピューターゲームには、明らかに以上のような「偶有性を設計する」という要素が欠けている。』

また、『子どもにとって一番良いことは、適当な頃合いで放っておかれること』という茂木氏の考えには納得。

以上。

|

« にいがたです | トップページ | にいがた に »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1115665/28854380

この記事へのトラックバック一覧です: レビュー『それでも脳はたくらむ』茂木健一郎:

« にいがたです | トップページ | にいがた に »